ファッションパンクロンリーボーイ

2人の出会いは運命だと信じてやまなかったの、21歳の私は。足繁く通ったワンルーム。一緒に暮らした家、オーダーメイドで作ったグリーンのカーテン。毛皮のマリーズREBELSONG、ベースから始まるイントロを何度も弾いて聴かせてくれた。住んでいた街の最寄駅を通過する時、今でも心臓が少しキュッとする。本当にかっこいいと思っていたのよ。喧嘩の後、スタジオに行くあの人を泣いて引き留めた事あった。あの時はごめん。

安い女と浮気して、私の言葉が届かなくなった。分かりやすい嘘に気付いていないバカな女のフリをし続けた。恋愛感情が憎悪に変わる瞬間をまだ昨日の事のように覚えている。点と点が繋がって、言葉の薄っぺらさに気付くと背筋がぞくぞくして指先が冷たくなる。私が2人の最後に選んだのはその場しのぎの言葉じゃなくて刃だったんだけど。君が振ったんじゃなくて私が振ったんだよ。間違えないでね。

私ね、1人でも大丈夫なように強くなったの。強くならなきゃ生きていけないから。殺されてたまるか。だらしがない事が、女を泣かせる事が、不条理を働くことがロックだというのならば、私はロックなんか大嫌い。

安い愛の言葉を並べられてももう見向きもしない。街中ですれ違っても、私は堂々と歩くのよ。

悪い男のお手本になってくれてありがとう。愛してくれて素敵な人の見分け方、分かってきたよ。

沢山人が優しくしてくれて、可愛がってくれて、どんどん綺麗になる。私は1人。あなたは陽当たりの良くないあの部屋の中、薄っぺらい愛を行きずりの女に囁きながらきっと死ぬまで独りぼっち。

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